薬機法改正に伴う現場の問題・対策案【2026】

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改正薬機法とオーバードーズ対策——形式だけの確認に意味はあるのか


  1. はじめに:購入確認が増え、双方がストレスを感じている
  2. オーバードーズの現状:若者層で急増する社会問題
  3. 購入者と資格者のストレス:会計時の現実
    1. 購入者側のストレス
    2. 資格者側のストレス
  4. 【私の意見①】末端対策に過ぎない(本質的な解決がなされていない)
    1. なぜ「末端対策」なのか
    2. オーバードーズの根本原因
  5. 【私の意見②】メンタルヘルス支援は利用されない(手段があっても意味がない)
    1. 利用率が極めて低い
    2. 支援を受けない主な理由
  6. 【私の意見③】本人が自覚していなければ、支援の手自体が鬱陶しい
  7. 【私の意見④】明らかに正常な使い方をする人にも聞き取りをする必要はあるのか?
    1. 現在の制度:全員に聞き取りが必要
    2. なぜ全員に確認が必要なのか
    3. 問題点:全員確認することの「不合理性」
  8. 【私の意見⑤】形式的な聞き取りに意味はない——普通に使う人は適当に答える
    1. なぜ「形式的で中身のない」聞き取りになるのか
    2. 実態としての「意味のなさ」
    3. 根本的な限界
  9. 本質的解決に必要なこと——末端対策と並行して進めるべき対策
    1. 1. アウトリーチ支援(自分から助けを求められない人への訪問)
    2. 2. 早期介入・予防的アプローチ
    3. 3. 相談窓口の「利用しやすい」化
    4. 4. 実効性のある購入規制(末端対策の改善)
  10. まとめ——私の主張
  11. 読者へのメッセージ:一緒に考えていきましょう
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  12. 参考文献

はじめに:購入確認が増え、双方がストレスを感じている

2026 年 5 月 1 日施行の改正薬機法により、「指定濫用防止医薬品」の購入時に氏名・年齢(身分証提示)・他店購入状況の確認が義務化されました。睡眠改善薬(ドリエル等)や咳止め薬(ブロン錠等)も対象に含まれ、購入者と資格者(薬剤師・登録販売者)の双方にストレスが生じています。

しかし、この改正はオーバードーズ問題の本質的な解決になっていますか


オーバードーズの現状:若者層で急増する社会問題

  • 2022 年に 10 代が47% 増、20 代が21% 増
  • 中学生の55 人に 1 人、高校生の60 人に 1 人が市販薬乱用経験
  • 6 割が OD を止めずに継続(「止めたい但止められない」35.4%)
  • 解熱鎮痛薬(49.8%)・かぜ薬(46.7%)・抗ヒスタミン薬(35.4%)・鎮咳去痰薬(27.2%)が乱用対象
  • 女性の7 割を占め、10 代〜40 代に広がる
  • OD 経験者の長期的自殺率は10% 近く

これだけ深刻な問題であり、改正薬機法は「若年層のオーバードーズ防止」を目的としています。


購入者と資格者のストレス:会計時の現実

購入者側のストレス

ストレス要因具体的な声
身分証提示「ただ風邪薬購入だけなのに、免許証や保険証を出さないといけないのが驚き」
他店購入状況の確認「他店で買ったか聞かれて、プライバシーが気になる。怪しい人間と思われた?」
氏名記載「名前を書かされるのが抵抗がある。」
18 歳未満の制限「1 個しか買えないって、家族みんなで困る。風邪薬なのに」

資格者側のストレス

ストレス要因具体的な声
確認業務の増大毎日数十人に同じ確認を繰り返すのは肉体的・精神的負担」
購入者の反感「購入者が怒ったり不信感を持ったりすると、対応が難しい」
18 歳未満の判断「外見年齢が曖昧な場合、どちらにすればいいか迷う.間違えたら処罰される」

実際に私も登録販売者の資格を持ってドラッグストアで勤務している中で、

会計時の確認業務のために他の仕事がストップすることや、確認に対して「バカじゃねえの(どう見ても自分は該当しないだろ、という意味で)」と暴言を吐かれることに疲れます。

そもそもこの確認の内容自体を理解されていない方も中にはいらっしゃるので、確認しに行くと「いつも飲んでいるから大丈夫」という論点のズレた返答をされることもあります。


【私の意見①】末端対策に過ぎない(本質的な解決がなされていない)

私が感じていること:
オーバードーズ問題への対策として、薬機法改正(会計時の対応追加)は、末端対策でしかなく本質の解決がなされていないように感じる。

改正薬機法による購入確認は、「末端対策(販売時の規制強化)であり、オーバードーズ問題の本質的な解決にはなっていないという見方は、多くの専門家も指摘しています。

なぜ「末端対策」なのか

直接の原因への対処のみ「買いはしご」を防ぐことはできても、一度購入した薬を過剰摂取する行為自体は防げない
確認を拒否された購入者確認が緩い他の店に行けば規制は効かない
背景にある根本原因への対応が薄いメンタルヘルス不調・孤立・生きづらさ・依存症といった根本原因への対応が不足

オーバードーズの根本原因

根本原因実態
メンタルヘルス不調ストレス・不安・うつから解放されるため
孤立・社会的排除トー横キッズなど、社会的に孤立した若者が多い
生きづらさ学校・家庭・社会での適応困難が背景
情報不足SNS で「気分転換」に良いと誤った情報が拡散
依存症6 割止めたいけれど止められない常習状態

人生の辛いことを紛らわす、解決させたい、その思いが薬に手を伸ばしてしまう原因であって、薬購入を阻止しても、それらの根本的解決にはなっていません。


【私の意見②】メンタルヘルス支援は利用されない(手段があっても意味がない)

私が感じていること:
本当に精神的に辛いと感じている人はメンタルヘルス支援を利用するのか?本質解決のための手段があっても利用されなければ意味なくない

利用率が極めて低い

  • 日本のカウンセリング利用率:6%(欧米は 20〜30%)
  • 精神疾患を抱える人の医療サービス利用率:20%台(WHO 調査)

支援を受けない主な理由

理由具体的な声・実態
スティグマ(社会的偏見)心の病気=弱い人間」「精神病と言うと家族も含め誰にも相談できない」
セルフスティグマ(自己偏見)病気を受け止められない」「相談できない」
周囲の無理解ぐうたらできるんじゃない」と言う人もいて、をサポートもらえない
SOS を発できない病状が客観視できず、「自分はいつでもやめることができる」「依存症ではない」と否認する
我慢の文化「どうしようもなくなってから受診すればいい」と我慢しすぎる
孤立・外との交流断絶精神障害者は病状で外との交流が断絶し、自分からは助けを求めづらい

【私の意見③】本人が自覚していなければ、支援の手自体が鬱陶しい

私が感じていること:
そもそも本人が精神的に辛いことを自覚していなければ、支援の手自体が鬱陶しくない

  • 精神障害者は「病的症状の自己管理」ができず、「自分には障害がある」と認識できない
  • 自分はいつでもやめられる」「依存症ではない」と否認する傾向が強い
  • 支援の手自体が鬱陶しいと感じる

【私の意見④】明らかに正常な使い方をする人にも聞き取りをする必要はあるのか?

私が感じていること:
明らかに正常な使い方をするであろう人にも聞き取りをする必要はあるのか??

現在の制度:全員に聞き取りが必要

  • 改正薬機法で「指定濫用防止医薬品」の購入時確認は努力義務から法的義務
  • 対象者すべての購入者に確認が必要(「正常な人かどうか」を事前に判断できないため)

なぜ全員に確認が必要なのか

理由実態
正常な使い方の判断が困難風邪を引いた人でも、過剰摂取する可能性がある
見た目・属性で判断できない10 代〜40 代、女性は 7 割、属性で「正常な人」は判断できない
自己申告の信頼性低下「普通に使います」と言っても、「実は 100 錠飲む」人も存在
買いはしご防止1 店で確認を拒否されれば、他店に行けば買えるため、全店で統一が必要

先に述べた通り、確認を実施しても「いつも使っているから(大丈夫)」という方もいらっしゃいます。正常な使い方をしているかどうか、聞き取りだけでは信用に足りません。かと言って、「では普段1日何回、1回何錠使ってますか?」なんて、わざわざ毎度聞き取りをするのでしょうか?1日に何回レジでの聞き取り業務があるのかわかっているのでしょうか。購入する側も毎回毎回そこまで答えるのは鬱陶しいでしょう。

問題点:全員確認することの「不合理性」

負担具体例
心理的ストレス「ただ風邪薬購入だけなのに、身分証出さないといけないのが驚き」「怪しい人間と思われた?」
プライバシー侵害感「他店で買ったか聞かれて、プライバシーが気になる
時間的負担確認で会計が遅れる(高齢者・忙しい人にとって重大)
購入拒否のリスク確認に応じられない・拒否すると、購入できない(正常な人でも不利益)

購入者側も嫌な思いをしますが、資格者である私も「あなたのことをODしているだなんて思っていないんです。法律が聞き取りをしろと言うからしているのであって、最初から疑いの眼差しを持っているわけではないんです。」と心が痛みます。

【私の意見⑤】形式的な聞き取りに意味はない——普通に使う人は適当に答える

私が感じていること:
普通に使うとみんな答えるから、こんな形式的で中身のないレジでの聞き取りに意味を見出せない

なぜ「形式的で中身のない」聞き取りになるのか

購入者の心理資格者の心理
「適当に答える」→「名前?適当に言う」「他店で買ったか?いいえ」と嘘をついて済ませる「形式だけこなせば OK」→「確認して記録を残せば要求は満たせる
「面倒くさい」→「確認されても意味がない」と感じ、適当に答える「本気で確認していない」→「適当に聞き流す」「真偽を確かめない
「怒られるのが怖い」→「本当のことを言うと買えない」ので、嘘をつく「購入者の反感が怖い」→「本気で確認すると怒られる」ので、形式的に済ませる

実態としての「意味のなさ」

問題点実態
嘘の申告「他店で買ったか?」→「いいえ」(実際は他店で 購入済み
確認がない「氏名?」→「名前」(本名ではない
真偽の検証なし購入者の申告をそのまま信じる検証しない
記録の形骸化記録を書くだけ保管・分析しない

根本的な限界

  • 口頭確認のみで、真偽を検証できない
  • 購入者の申告を前提にするため、嘘をつけば規制不能
  • 1 日で何度も購入しても、各店で 1 回ずつ確認するだけ(買いはしご防止にならない
  • 過剰摂取の防止にならない(購入後、自宅で過剰摂取する行為は防止できない)
  • 乱用の「根本原因」に届かない(メンタルヘルス不調・孤立・依存症には何の対策もない)

本質的解決に必要なこと——末端対策と並行して進めるべき対策

1. アウトリーチ支援(自分から助けを求められない人への訪問)

対策内容
自宅訪問対象者の自宅をこちら側が訪ね、時間をかけて関係性を構築
見えない存在の支援SOS を発せず地域との接点を失った人へ手を伸ばす
多機関連携地域の多機関と連携しながら包括的サポート

しかし、秋に述べたOD事案数の数から見ても、これらの支援が潤滑に進むとは思えません。

2. 早期介入・予防的アプローチ

対策内容
学校での教育中学生・高校生にメンタルヘルス教育をカリキュラムに組み込む(スティグマ軽減)
ピアサポート若者同士の支援ネットワーク(「同じ悩みを持つ人」同士の助け合い)
SNS 対策SNS 上の誤った情報を正しい情報に置き換える(若者がアクセスしやすい場所で)

3. 相談窓口の「利用しやすい」化

対策内容
オンライン相談電話・チャット・動画で匿名・遠隔で相談可能
24 時間対応夜間・早朝でもいつでも相談できる窓口
無料・低費用費用負担を軽減(経済的ハードル撤廃)
薬局・店舗での案内購入者が購入店でカウンセリング窓口情報を入手可能にする

4. 実効性のある購入規制(末端対策の改善)

対策内容
DB による購入履歴の一元管理1 人あたりの購入履歴を確認し、常習者を特定
数量制限の厳格化1 日・1 週間あたりの購入数量を制限
リスクベースの確認頻回・多量購入のみ確認義務化(1 回購入は確認不要)

しかし、個人情報保護の観点からは難しいところが現状です。個人的にはマイナンバーカードを国民全員に所持させて、購入店では必ず定時・情報登録させればいいのでは、という考えも頭をよぎりましたが、手順に時間がかかり、コンビニエンスであるはずの会計に多くの時間が取られ、別のストレスが発生してしまいそうです。


まとめ——私の主張

私が伝えたいこと:
薬機法改正による購入確認は、オーバードーズ防止の末端対策ではあるが、以下の理由で本質的な解決にはなっていないことが明確。

  1. 正常な購入者にも負担がかかり、双方がストレスを感じている
  2. メンタルヘルス支援は利用率が低く、本当に困っている人は利用しない
  3. 本人が自覚していないため、支援自体が鬱陶しいと感じる
  4. 形式的な聞き取り適当な申告真偽検証なし意味がない
  5. 根本原因(メンタルヘルス不調・孤立・生きづらさ・依存症)には何の対策もない

本当に必要なことは、末端対策と本質的対策を並行して進めることかもしれません。

  • 末端対策の改善: データベースによる購入履歴管理・数量制限・リスクベース確認
  • 本質的対策: アウトリーチ支援・学校での予防教育・匿名・24 時間・無料相談窓口・ピアサポート

読者へのメッセージ:一緒に考えていきましょう

オーバードーズ問題は、「一部の問題」ではなく、若者全体に広がる危機です。しかし、購入確認が厳しくなったことで、購入者は「怪しいと思われた」と感じ、資格者は「毎日同じ確認を繰り返す」負担が増えました。

改正の目的は命を守ることですが、双方のストレスを理解しながら、メンタルヘルス支援連携体制を一緒に作っていきたいと思います。

末端対策だけの限界と本質的解決への道——あなたはどう考えますか?ぜひあなたの意見もお聞かせください。

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参考文献

医薬品を安全に使うために – 厚生労働省[1]

2026 年薬機法改正で新設される「指定濫用防止医薬品」[2]

改正薬機法まとめ(令和 8 年 5 月 1 日施行)|こはく堂薬局[3]

薬局に手順書作成を求める ~ 乱用薬の多量購入者対応 厚生労働省[4]

[5] 改正薬機法が成立 | ニュース – 公明党

若者に広がる「オーバードーズ」 見えない孤立と命のリスク – Yahoo!ニュース[6]

市販薬過剰摂取 6 割が継続~「生きていくための手段」~ – 薬育み[7]

「100 錠飲む人も…」4 年前から約 3 倍増のオーバードーズの救急搬送 – FNN[8]

「気分転換」の危険な代償 若年層に広がる市販薬乱用と社会の課題 – 公明党[9]

メンタルヘルスを身近なものにするための日本の課題 – 世界経済フォーラム[10]

精神科クリニックに通院するメンタルヘルス不調者が抱える…[11]

日本のカウンセリング利用率はなぜ 6%?我慢の文化がもたらす危機[12]

相談対応マニュアル(案) – 福島県[13]

カウンセリング利用率が示す、日本と欧米のメンタルヘルス観の違い[14]

“8050 問題””ひきこもり”“見えない”存在の声を聴く – 済生会鴻巣病院[15]

精神障害者に対する「自己理解の支援」における介入行動[16]

メンタルヘルスを身近なものにするための日本の課題 – 世界経済フォーラム[17]

日本のメンタルヘルスにおける構造的課題と事業機会の検討[18]

問題化する若者の「オーバードーズ」 市販薬を乱用目的で使った…[19]

中学生 1.8%市販薬乱用、厚労省研究班調査 55 人に 1 人、初の推定|室蘭民報社[20]

中学生の 55 人に 1 人が「1 年以内に経験」若者に広がる「オーバードーズ」なぜ 販売の現場では[21]

市販薬乱用、週に数回以上 1 割 高校生の経験者回答、頻度初算出:東京新聞[22]

若者のオーバードーズ(薬物の過剰摂取)防止対策の[23]

市販薬乱用、週に数回以上 1 割 高校生の経験者回答、頻度初算出(共同通信)[24]

2025 年薬機法等改正の全容(概要)[25]

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