自分の好きを認めると、少しだけ自分を好きになれる
私は昔から、某キノコの王国のお姫様の可愛い傘に憧れていた。
乱闘ゲームに出てくるピンクの姫は、傘もドレスもとにかく可愛い。
幼いころの私は、ああいう“可愛いものが似合う人”に、ただまぶしく惹かれていた。
日傘を選べなかった理由
でも当時は、日傘そのものに今ほどの存在感がなかった気がする。
それに、当時お年玉くらいしか自由なお金がなかった私は、欲しくても簡単には買えなかった。
憧れはあっても、手に入れられないものとして、ずっと遠くにあった。
大学生になって日傘を使い始めたときも、私はふりふりの可愛い日傘を選ばなかった。
可愛いと思う気持ちはあっても、自分がそれを持っている姿がどうしても想像できなかったからだ。
似合うかどうか以前に、選んでいいと思えなかった。

真面目な自分と、無難な選択
私はよく真面目と言われる。
ファッションはその時その時で変わるけれど、
中学・高校時代は地味でセンス皆無、大学時代は男友達からOLっぽいと言われたり、
真面目な自分から抜け出したくて敢えて奇抜な柄のコーデを組んだり、
髪をショートマッシュにして男と間違えられることが多かった時期は、そんな自分に合わせてメンズコーデをしていた。
大学時代の顔は、彼氏に「5浪の顔」と言われるくらい大人っぽかった。
そんな自分だからこそ、ふりふりの日傘はどうしても遠く感じていた。
ここ数年は、日傘の需要も伸びた。眩しい日差しを可愛い日傘で避けたい。
そんな気持ちも少しずつ強くなっていったのに、結局私は、やっぱりシンプルな黒い無地の日傘を選んでいた。

2本買うという選択
そんな日傘が、ある日壊れた。
ついに私は、今の彼氏と買い物をしているとき、通勤用のシンプルな日傘と、フリルの日傘を1本ずつ買うことにした。
そのとき彼氏には「1本で良くない?」と言われた。
でも私は、「可愛い傘は使うだけで気分が上がるし、公私別で使えば職場で浮かない。2本あったっていいよね」と答えた。
それは、自分に対する言い訳みたいでもあり、ずっと欲しかった許可を自分に出す言葉でもあった。
彼氏は、「たしかに、職場用と分けるのはいいね。(職場でも)気まずくないし」と返してくれた。
その一言で、自分の選択はおかしくないんだと、少し安心できた。
フリルの日傘を使ってみた日
購入してすぐ、店員さんにタグを切ってもらった。
外は晴天で、私はさっそくフリルの日傘を差してみた。
すると、傘の存在そのものがまぶしく感じられた。
見慣れないはずなのに、差した瞬間に気分が少し上がった。
私はいつも、彼氏と外にいるときは、自分の日傘に彼氏を入れている。
その日も、彼氏はふりふりの可愛い傘の中で涼んでくれた。
ふりふりの可愛い日傘を、自分ではない、他人が自然に受け入れてくれている感じがして、うれしかった。
そのとき初めて、「好きなものを選んだ自分」を許せた気がした。
可愛いを選ぶ自分を許す
私は姫の可愛い傘に憧れていた。
可愛い傘が似合う人に憧れていた。
そして何より、可愛い傘を選ぶ自分を許せる・認める人に、ずっと憧れていたのだと思う。
それからは、日傘を使い分けている。
通勤時やスーツコーデの日はシンプルな日傘を。
それ以外のカジュアルコーデやきれいめコーデなどの日は、フリルの日傘を。

たったそれだけのことなのに、毎日の気分は思った以上に変わる。
たかが日傘、されど日傘
たかが日傘、されど日傘。日常にしっかり食い込んでくる存在だからこそ、選び方ひとつで自分の輪郭まで少し変わるのかもしれない。
私にとっては、自分を少しだけプラスにしてくれた特別な存在だった。
自分の好きを自分自身に主張すると、少しだけ自分を好きになれる。今は、そんなふうに思っている。
さいごに
あなたにとって、日常を少し変えた“特別”は何ですか?


コメント